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雨の屋久島、森のコワーキングへ|安房から平内・屋久島サウスビレッジまでの一泊二日

雨の屋久島、森のコワーキングへ|安房から平内・屋久島サウスビレッジまでの一泊二日

コラム鹿児島県2026/6/16

今回はちょっと特別編です。

旅行ブログ「japan-travel-log」の取材を、いつもとは少し違うかたちで。屋久島の南、平内にあるコワーキングスペース「屋久島サウスビレッジ」で、この記事を書いています。

世界自然遺産の島で、海と森に囲まれて仕事をする。そこに辿り着くまでの一泊二日の道のりを、写真多めでお届けします。

ノープランの出発点|屋久島空港の観光案内所

屋久島に着いたのは、しとしとと雨の降る午前。さすがは「ひと月に三十五日雨が降る」と言われる島です。

じつは今回は、ほとんどノープラン。決めていたのは「9日にコワーキングスペースで仕事をする」ことだけでした。

そこでまず飛び込んだのが、屋久島空港の観光案内所。「ノープランで来ました」と正直に伝えると、スタッフの方が親身に相談に乗ってくださいました。

手渡されたのは、屋久島交通のバス時刻表と島の地図。「安房のあたりまで行けば泊まれますよ」「バス停はここ」「新札はバスでは両替できないから気をつけて」——ガイドブックには載らないローカルな情報が、つぎつぎと出てきます。

「安房の案内所に行くなら〈警察署前〉で降りるといいよ」。そう教わって、いざ路線バスへ。レンタカーを使わず、バスだけで島を動く取材旅のはじまりです。

警察署前で降りて、傘まで借りて|安房の観光案内所

教わったとおり「警察署前」のバス停で降りると、目の前がちょうど安房の観光案内所。降りた勢いのまま、そのまま中へ。

ここでも、とても親切でした。あいにくの雨でしたが、「これ使って」と傘まで貸してくださり、今夜の宿は近くの「民宿とまり」を紹介してもらえることに。

(この傘には、ちょっとした後日談があります。泊まった民宿とまりのオーナーさんは文房具店も営んでいて、そのお店で傘が買えたのです。なので案内所には、あとから傘を返しに。ついでに、翌日以降の登山に向けたレンタカーやトレッキング用の雨具レンタルのことまで、ここでまとめて相談させてもらいました。)

飛魚の刺身でお出迎え|レストランかもがわ

お昼は、島の方に教わった一軒、安房のレストラン「かもがわ」へ。

壁のメニューには、飛魚のから揚げ定食、焼き魚定食、そして「島の海の幸」と書かれたお刺身定食。屋久島らしい品が並びます。

運ばれてきたのは、飛魚の開きの塩焼きと、つやつやの刺身がそろった定食。

飛魚は身がしまっていて、ほんのり甘い。焼いた開きは香ばしく、ごはんが進みます。小鉢や亀の手まで添えられて、島の海をまるごといただいたような一皿でした。

「世界自然遺産」の碑と安房の路地|雨のまちあるき

お腹を満たして、雨のなかを少し歩きます。

町の一角に、どっしりとした石碑がありました。「世界自然遺産 屋久島」、平成五年十二月登録の文字が刻まれています。

この島が世界に認められた証の前に立つと、これから始まる滞在が少し誇らしく感じられました。

海へと下っていく細い路地を抜ければ、その先には屋久島の海。雨に濡れたコンクリートの溝板が、しっとりと光っていました。

今夜の宿は民宿とまり|安房の町なかに

一日目の宿は、安房の町なかにある「民宿とまり」。

「ようこそ屋久島へ」と書かれた縦看板が、雨のなかで旅人を迎えてくれます。

通された和室は、絨毯に小さなテレビ、ちゃぶ台に押し入れの布団という、昔ながらのつくり。気取らない空気にほっとします。

飾らない島の宿に荷を下ろすと、ようやく「屋久島に来たな」という実感がわいてきました。

夕食はスーパーで島の味を|ショッピングセンターばんちゃん

夕方、傘をさして向かったのは「ショッピングセンターばんちゃん」。安房の暮らしを支える、島のスーパーです。

惣菜コーナーをのぞくと、地のものがずらり。お寿司に煮物、串に刺さった揚げ物、それにかごしま緑茶とゆずジュースまで買い込みました。

宿の部屋に持ち帰って、ささやかな宴。観光地のごちそうもいいけれど、その土地のスーパーをのぞくと、暮らしの手ざわりが見えてきます。これも取材の醍醐味です。

二日目の朝、バスで南へ|安房から平内入口へ

翌朝、雨は上がっていました。

安房のバス停に立ち、赤いポストの脇でバスを待ちます。ヤシの木が並ぶ通りに、潮の匂いをふくんだ風が吹き抜けていきました。

乗り込んだのは、島の南をめざす路線バス。安房から揺られること、しばらく。降り立ったのは「平内入口」のバス停です。

緑にうもれた小さな標識が、ぽつんと一本。背の高い木々と草むらに包まれて、ここが目的地の入り口だとは、よく見ないと分からないほどでした。

森のなかのコワーキング|屋久島サウスビレッジ

バス停から、傘いらずの道を五分ほど。生い茂る緑のなかに、目あての看板が現れました。

手書きの木の看板には「South Village Guest House / Cafe / Shop」。雨に洗われた草の緑に、あたたかい文字が映えます。

その隣には、「食・寛・遊・癒」と大きく掲げた案内板。泊まって、くつろいで、遊んで、癒される——この島の時間の流れが、四文字に詰まっているようでした。

そして、緑のトンネルの奥にある入口へ。送迎用のワゴンが停まり、シダや木々が建物をやさしく包み込んでいます。

箪笥のある部屋で、仕事はじめ

じつは、サウスビレッジのコワーキングスペースはいま改装中とのこと。今回は、仮設の作業場を特別に案内していただきました。

通されたのは、なんとも味わい深い空間でした。

白い壁に、年季の入った和箪笥がふたつ。木のぬくもりが残る床に、長机と籐の椅子が並びます。ホテルのオフィスとはまるで違う、島の家のような落ち着き。仮の場所だなんて、もったいないくらいです。

窓際の机にノートパソコンを広げれば、それだけで仕事のスイッチが入ります。背中にリュック、手もとにコーヒー。静かな雨音をBGMに、キーボードを叩きはじめました。

——そして今、まさにこの机で、この記事を書いています。

世界自然遺産の島で、森に抱かれて記事を執筆する。場所を選ばずに働けるからこそ、こうして取材と仕事を重ねられる。屋久島サウスビレッジは、そんな旅の働き方にぴったりの場所でした。

安房のバス停から、飛魚の定食、民宿の夜を越えて、平内の森のなかへ。たどり着いたこの一日を、ブログに残しておきます。次に屋久島で働いてみたい人の、道しるべになればうれしいです。

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