
夜の町に朱が灯る|津沢夜高あんどん祭を歩く
金沢から車を走らせること約1時間。富山・小矢部市の津沢へ、初夏の夜を彩る「津沢夜高あんどん祭」を見に行ってきました。
約280年続くこの祭りは、小矢部市の無形民俗文化財。夕暮れの町に、極彩色のあんどんがいくつも浮かび上がります。
6月の風がまだ少し涼しい頃、町じゅうがそわそわと祭りの支度をしていました。
夕暮れの町に祭りが立ち上がる|津沢あんどん広場
会場は、津沢あんどんふれあい会館まわりの「あんどん広場」。
「6/6・7」と大きく刷られたポスターが、民家の壁にぴたりと貼られていました。赤いあんどんがびっしり並ぶ図柄を見ただけで、期待がふくらみます。
広場にはテーブルと椅子が並び、夕日を背にぽつぽつと人が集まりはじめます。これから始まる夜の熱気を、町ぐるみで待っている空気でした。
一枚ずつが絵物語|あんどんの武者絵
まず目を奪われたのが、ずらりと並んだあんどんの「絵」。
鎧をまとった武者、睨みをきかせた歌舞伎の見得。極彩色の和紙に、金・銀・朱がぶつかり合うように塗り重ねられています。
一面ぜんぶが手描きと聞いて、思わず足が止まりました。近づくと線の一本までが力強く、まるで巨大な絵巻物を間近で眺めているようです。
朱の灯がともる|夜高あんどん
日が傾くにつれ、あんどんの中に灯がともりはじめます。
牡丹や唐獅子をかたどった大きなあんどんは、内側からの光で和紙がぼうっと透け、朱と金がいっそう深く燃えるよう。「御神燈」「寿」の文字が、夕闇にくっきり浮かびます。
通りには「津澤夜高神燈」と墨書きされた行燈の柱がいくつも立ち、灯りの列がまっすぐ奥へと続いていきます。
あんどんの朱が一斉に灯る瞬間は、何度見ても胸がすく眺めでした。
祭りの夜は屋台メシで|津沢の縁日
ひと通り見て回ったら、小腹もすいてきます。
屋台で手に入れたのは、つやつやの焼きそばと、ハーブのきいた粗挽きソーセージ。プラ容器ごしにも、ソースの甘い香りと炭の匂いが立ちのぼります。
割り箸をぱきっと割って、立ったままほおばる一口。祭りの屋台メシは、どうしてこんなにおいしいのでしょう。
朱のあんどん、武者絵の迫力、屋台のにぎわい。夕暮れから夜へ、町が祭り一色に染まっていく時間を、たっぷり味わえた一日でした。
このあとは車を南へ走らせ、岐阜・飛騨高山の古民家ゲストハウスへ。翌朝のしっとりした宿の時間は、また別の記事でお届けします。



