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苔の森ヤクスギランドを歩く|レンタカーでめぐる屋久島の原生林と海辺の名物温泉

苔の森ヤクスギランドを歩く|レンタカーでめぐる屋久島の原生林と海辺の名物温泉

観光スポット鹿児島県2026/6/17

屋久島三日目は、いよいよこの旅のいちばんの目的地、原生林の森へ。

レンタカーを借りて苔むす「ヤクスギランド」を歩き、午後は野生のサルに出会い、海辺の名物温泉につかる。森も、海も、生きものも、屋久島のすべてが詰まった一日になりました。たっぷりの写真でお届けします。

早朝の安房から、レンタカーで山をめざす|ニコニコレンタカー

朝、宿の窓を開けると、屋久島の山なみが雲をかぶってそびえていました。これから、あの森の奥へ分け入っていきます。

この日はバスではなく車。安房の「ニコニコレンタカー」で軽自動車を一台借りました(4,950円)。

前日に島の登山用品店「山岳太郎」で借りておいたトレッキングシューズとレインウェアを積み込み、いざ山へ。屋久島の山道は雨でぬかるむので、足もとと雨具の備えは欠かせません。

安房から林道を登っていくと、ぐんぐん標高が上がります。窓を開けると、ひんやりと湿った森の空気が流れ込んできました。

苔むす森の入口へ|ヤクスギランド

たどり着いたのは、標高1,000メートルあたりに広がる自然休養林「ヤクスギランド」。

入口の料金所で、環境保全の協力金800円を納めて森へ。コースは30分から150分まで、体力と時間に合わせて選べます。今回えらんだのは、いちばん奥まで歩く150分コース。せっかくなら、屋久島の森を深くまで味わいたいと思いました。

一歩足を踏み入れると、世界が緑に染まりました。地面も、岩も、倒木も、何もかもが分厚い苔におおわれています。早朝まで降っていた雨は、ちょうど上がったところ。雨上がりの緑が、しっとりと光っていました。

巨木と奇景をくぐる|くぐり栂・千年杉

歩きはじめてすぐ、ひとつめの見どころ「くぐり栂(つが)」が現れました。

長い年月で根もとがえぐれ、まるで木がトンネルのアーチをかけたよう。その下を、頭を下げてくぐり抜けていきます。自然がつくった門をくぐる感覚は、ここならではです。

道をさらに進むと、今度は天を突くような大木「千年杉」。

名のとおり、樹齢千年を超えるとされる屋久杉です。首が痛くなるほど見上げても、てっぺんは緑のなかに消えていきます。幹を伝う苔の緑が、長い時間の積み重ねを物語っていました。

苔と清流の小径|ときめきの径

森の奥へ進むほど、苔と水の気配が濃くなっていきます。「ときめきの径」と名づけられた一角は、まさにその名のとおりでした。

木々のあいだから水のせせらぎが聞こえ、苔の岩を縫うように澄んだ渓流が流れています。

巨石のあいだを抜けていく水は、おどろくほど透き通っていました。ときどき足を止めて、ただ流れと鳥の声に耳をすませます。

整備された木道をたどって、さらに奥へ。屋久杉の太い根が大地に張りめぐらされ、その上を渡るように道が続きます。雨に濡れた木道は滑りやすく、一歩ずつ慎重に足を運びました。

ここから登山道、そして森の道連れ

150分コースは、奥へ進むにつれて遊歩道から本格的な登山道に変わっていきます。木の根と岩が階段のように入り組んだ道を、ときに手も使いながら登っていきます。

途中、見晴らしのいい場所で記念撮影をしていると、後から一人の男性が登ってこられました。聞けば65歳。やはり屋久島は初めてとのことで、ここから先、行程の四分の三ほどをご一緒することになりました。

お話をうかがって、おどろきました。その方は過去に人工関節の手術をされていて、それでも翌日は往復10時間という本格的な屋久島登山に挑戦するのだそう。今日のヤクスギランド150分コースは、その「肩慣らし」なのだといいます。

その年齢で、体に大きな手術を経てなお、未知の山へ挑もうとする。もし自分が同じ立場だったら、はたして同じことが言えるだろうか——。森のなかで交わした短い会話に、思いがけず大きな刺激をもらいました。

森の主に会いに|ひげ長老・仏陀杉

ヤクスギランドには、名前のついた屋久杉がいくつもあります。なかでも印象に残ったのが、この二本。

ひとつは「ひげ長老」。苔と着生植物をびっしりまとった姿は、まさに森の長老のよう。命名は2000年、屋久島の小学生によるものだそうです。

もうひとつは「仏陀杉」。

こぶだらけのうねる幹は、見る角度によって仏さまの姿にも見える、とのこと。樹齢を重ねた屋久杉は、一本いっぽんが彫刻のように個性的でした。

しずくの森と、小さな滝

森のあちこちで、岩肌を伝って水が落ちています。

苔むした岩のあいだを、細い滝がさらさらと流れ落ちていました。差し込む光に苔が淡く光り、シダの葉先から雨のしずくがしたたります。深呼吸するたびに、森そのものを体に取り込んでいるようでした。

「もののけ姫」の世界とも称される、この島ならではの原生の緑。レンタカーがなければたどり着けない奥地で、屋久島の核心にふれた時間でした。

林道でまさかの出会い|野生のヤクザル

森を歩き終え、車で山を下りていると——道路のまんなかに、思わぬお客さん。

野生のヤクザルの群れが、のんびりと路上でくつろいでいました。一頭は道に寝そべり、毛づくろいをしあう姿も。クラクションも鳴らさず、彼らが動くのをそっと待ちます。屋久島では、ヤクザルもヤクシカも暮らしのすぐそばにいる。野生の島であることを、あらためて実感しました。

山を下りる途中、ENEOS屋久島で給油(738円)。レンタカー旅は、こうしたこまかな足あとも取材の記録になります。

波打ち際の名物湯をはしご|平内海中温泉・湯泊温泉

午後は車を島の南西の海岸へ。屋久島には、海のすぐそばに湧く名物温泉がいくつもあります。

まず訪れたのは「平内海中温泉」。干潮の前後しか姿を現さない、波打ち際の海中温泉です。利用は協力金300円、湯のみカップが並ぶだけの、無人のおおらかな運営でした。

岩をくり抜いただけの湯船は、すぐ目の前で白波がくだけるワイルドさ。ただ、この日はあいにく干潮の時間からずれてしまっていて、湯船には波がざぶざぶと入り込んでいました。一応つかってはみたものの、お湯は海水とまざってすっかりぬるく、もはや海水浴に近い状態。これも自然まかせの海中温泉ならではの洗礼です。

続いて、近くの「湯泊温泉」へもはしご。

こちらは簾の囲いがある、これまた海に面した露天風呂。水平線をながめながらのんびりとつかれば、トレッキングで疲れた足もじんわりほぐれていきます。誰に気がねすることもない開放感そのもの。海と湯がひとつながりになったような、屋久島ならではの湯あみでした。

スーパーで小さな買い足しと、宿の二晩目|Aコープ安房店・料理宿鱗屋

安房へ戻る道すがら、この日もAコープ安房店へ立ち寄って、飲み物などを軽く買い足し(235円)。

宿は前夜と同じ「料理宿鱗屋」。二泊お世話になります。宿に戻ると、窓の外には雲のとれた屋久島の山なみが見えました。朝は雨に煙っていた稜線が、夕方にはくっきりと姿を見せています。

そして、連泊の楽しみは二晩目の夕食です。

この日は魚のフライを主役に、煮物や和え物の小鉢がずらり。揚げたての衣はサクサクで、みずみずしいレタスと好相性。前夜とはまた違う顔ぶれで、連泊でも飽きさせない島の家庭の味でした。

森を歩き、野生のサルに出会い、海の湯につかり、夜は宿の膳で島の幸を味わう。レンタカーひとつで島の表情がぐっと広がった、忘れられない三日目でした。明日はいよいよ屋久島を離れ、海を渡って鹿児島へ向かいます。

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  2. Day 2
  3. Day 3
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